2026年、私たちは水俣病公式確認から70年という大きな節目を迎えました。1956年に公式確認された水俣病は、日本の公害史に深い傷跡を残し、今もなお各地で水俣病の裁判が続いておりその影響は続いています。
同時に、水俣市は高齢化と人口減少が進む地域でもあります。医療、福祉、交通、地域コミュニティの維持など、暮らしに関わる課題は年々複雑さを増しています。こうした状況の中で、地域の実態を丁寧に把握し、市民一人ひとりの声を未来のまちづくりに生かしていくことが、これまで以上に重要になっています。
そこで今年、水俣病公式確認70年記念事業の一環として、市民の健康や生活の状況、地域の課題を明らかにするためのアンケート調査を実施することになりました。この調査は、熊本学園大学社会福祉学部の高林秀明教授のご指導のもと、4月・5月・6月の3か月間にわたり訪問調査の形式で行われました。
今回の調査には、大きく二つの目的があります。
一つ目は、水俣市民の健康状態や生活の実態、地域が抱える課題を正確に把握することです。水俣病の影響が長期化する中で、健康上の不安や生活の困難を抱える人は少なくありません。また、地域の高齢化に伴い、これまで見えにくかった新たな課題も生まれています。調査を通して、こうした現状を丁寧に掬い上げ、地域の姿を客観的に捉えることを目指します。
二つ目は、調査結果を市民に広く還元し、誰もが健康で安心して暮らせるまちづくりに役立てることです。調査で得られたデータは、報告書や説明会などを通して市民に共有され、地域活動や住民主体のまちづくり運動の基盤となります。水俣病の歴史を踏まえつつ、これからの水俣をどうつくっていくのか。そのための議論や行動を支える大切な資料となるはずです。写真は訪問前の事前レクの様子です。
4月、5月の訪問調査に参加した職員によると、水俣市民の中にも様々な立場で水俣病とのかかわりがあり、改めて水俣市民にとってもいろんな見方がある問題なんだな・・・と実感。ひとり暮らしで日頃、あまりおしゃべりをする機会がない方で、たくさんお話をされる方もいらっしゃって、職員がお昼なのに帰れないようなことも・・・。訪問する中で、「介護保険の相談がしたい」など生活の中でお困りのことをきいて、休み明けに職員が対応することもありました。快く調査にご協力いただいたみなさまありがとうございました。